「モンゴルのマンホールチルドレン」映像と講演
7月3日明治大学和泉校舎リエゾン棟で教養デザイン研究科主催の映画と講演のイベントがあった。
講師はNHKエンタープライズプロデューサー北川恵氏。テーマは「モンゴルのマンホールチルドレン」とドキュメンタリー制作について。
『モンゴルでは1990年に,70年続いた社会主義体制から資本主義体制へ転換し,社会は大きな変化を経験しました。 市場経済へのショック型移行により,経済は混乱して失業者が続出し,首都ウランバートルにストリートチルドレンが出現しました。冬にはマイナス30度にもなる寒空の下,家のない子供たちは,市の集中暖房用の熱湯が通る管が埋められた地下の空間で身を寄せ合って暮らし始めました。彼らの”家”の玄関口が道路にあるマンホールで,そこから出入りする子供たちはマンホール・チルドレンと呼ばれるようになりました。作品では,1998年からの10年の間の3度にわたる取材で,マンホールに暮らす3人のこどもたちが成長する姿を追います。』(チラシのコピーより)
映像は3人のマンホールチルドレンの10年を追いかけたものでした。温暖化と草原の砂漠化で街に捨てられて行く子どもたち。ペットボトル集めの仕事を必死にやりながらも貧しさから脱出できない。やっと一緒に住み始めた母親と別れたり、幼い頃から助け合って来たマンホール仲間との間が険悪になったり。金やウランなどの鉱物資源の開発に湧くモンゴルで格差社会はじっとりと広がりつつあります。弱者が捨てられて行く。夢も希望もなく。
北川氏はドキュメンタリー制作の客観性について「ある事態をどうありのままに見せることができるのか?主観的な意思を持ちストーリーを勝手に作り、話しをまとめたりしない手法について」話された。質問者の中には「悲惨な現場を見せて、何がしかその現状を超えて行く示唆を与えるべきではないのか」などと手厳しい発言もあった。北川氏は「それをするとドキュメンタリーではなくなる」「制作側としては、当然より良い未来を望んでいるが、誘導してはならないと思う」「事故や事件になりそうな時には、カメラを廻すことをやめて止めに入ったりするが、それも事態を変化させるという意味で逡巡することもある」。それでも事実を事実として伝えることに執心したいと言っていた。ある事態を前に、ドキュメンタリーの客観性を保持するとは何か。それらを制作する側もまた人間である。難しいテーマがそこに流れている。
トラックバック URL :
コメント (0)

